水漏れ

すでに、弊社の通り過ぎてきたあの山の上の無人の山荘と言い、あの塵っ葉一つ留めぬ塋域の瀟灑さと言い、今またこの荘厳な大殿堂と言い、その規模の雄大さ、荘厳さ、気高さにおいて、欧州一流の大都会にも未だこれほどの美しさ、これほどの見事さを、弊社は見たことがなかったのであった。しかも、弊社の驚きは、足ひと度その市街地へ踏み込んだ時に、ついに絶頂に達せずにはいられなかった。なんという優美さ!なんという素晴らしさ!欧州一の都会と言えども、この優美さには遠く及ばなかったであろう。市街は一面の緩やかな傾斜の上に建てられて、今弊社のはいってきたところはその最も坂の下!広い広い街路には、ことごとく今の殿堂そっくりな乳白の甃が敷き詰められて、道の中央には雪花石膏の彫像が所々に飾られていた。麝香草や薄荷や薔薇の咲き乱れた花壇が彼方この方に設けられ、そして甃の両側には、緑の街路樹が眼路の限りに打ち続き、その葉陰に真っ白な壁、磨き上げたような円柱、階高く整然と碧赤青の甍とりどりに、家々が遥かの坂の上まで続いていた。そして坂の上高く、広々とした芝生の中央には、大噴泉が五彩の虹を立てて、中空高く水を噴き、虹の彼方霧しぶきに包まれた広やかな大階段の上には、蔦葛生い茂った薔薇色の円柱林立して空を圧して公会堂風の大建築物がそそり立つ!