高槻市

しかもそこに至るまでの両側の家々の扉の陰、入り口、柱の陰にたたずんで、無数の男女の瞳が、今はいってきた我らの隊列の上に、高槻市 水漏れと注がれているのであった。真昼の静けさの中に、真昼の彫像が立ち、真昼の花が咲き乱れ、そして真昼の中に溶け込んだように、物音一つ立てずに、声を呑んで、我らの動きを凝視している幾千幾万という人の群れ!呀っ!と思わず弊社は声を立てずにはいられなかった。弊社の予想はまったく違っていたのであった。優雅とは思っても、弊社はまさかにそれほどまでの素晴らしい文化的な優雅さを、この都会が持っていようとは、夢にも思わなかった。そして、これほどまでに多数の人々が逃げも隠れもせずに、弊社異の軍隊の侵入を凝乎と見守っていようとは、夢にだも考えてはいなかった。まったく弊社の予想していたものは、家財家具をおっ放り出し、算を乱して逃げ出した後の無人の都会なのであった。そして弊社の予期していたものは、溝河のごぼごぼと音だてて、土壁の土台を洗っているつぶあいやたひてぃのような太平洋諸島に見る半未開黒白人の雑居した、下層欧州都市のそれなのであった。弊社はまったく夢に夢見る心地で、茫然とたたずまずにはいられなかった。しかし、そこの扉の陰に、彫刻の陰に、鳴りを潜めて凝乎と弊社の動きを注目しているこの都会の住民の、なんという雅やかさ!なんという気高さなのであろう!